皆さんこんにちは~、スタッフの橋本です。
今日は先週に続き、サブカルから見るビジネス、ということでご紹介をします。
紹介する会社は「スクウェア・エニックス」です。
この会社、「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」などを出しているゲーム界屈指の大手です。
・・・・知ってるって? まあ、ゲームをされたことのない方もいるので勘弁してください。
さて、大分県の印刷会社でそんな大手をわざわざ紹介しなくてもいいじゃん?という風に思ったかもしれません。
ただ、2012年、2013年頃、経営状態が悪く、危機に陥っていたことはご存知でしょうか?
その大きな要因の一つとなった「ファイナルファンタジー14(通称:FF14)」が今回の話の主役です。
「ファイナルファンタジー」といえば据え置き機器(ファミコンなど、家において1人、もしくは複数で楽しむ)の
ロールプレイングゲームで、おそらくゲームをする人でこの名前を知らない人はいないだろうというビッグタイトルです。
ファイナルファンタジーの1から10までは普通のゲームでしたが、11は月額課金制(毎月決まったお金を払って遊ぶ制度)のオンラインゲームの様態をとっていました。
これがそこそこ成功したので、間に2作挟んで14でもう一度オンラインゲーム仕様にしよう、ということで2010年にスタートしました。
当時かなり高価だったパソコンのグラフィックボード(普通の電気屋にはめったに売ってません)が飛ぶように売れて「FF14特需」とまで言われていました。
うまくいくはず、だったのですが・・・・・
蓋を開けてみてサービスが開始すると、
・バグ(プログラム上の欠陥)が大量発生
・フィールド画面の使いまわし
・ゲームバランス(キャラクターやモンスターの強さの設定)がめちゃくちゃ
・・・・等々
普通のゲームソフトなら中古屋で安く売られて忘れられるぐらいで済むのですが、
世界中が知っているビッグタイトルなので、そうはいきません。
「ファイナルファンタジーの名を失墜させた最悪のタイトル」といったような評価がネット上で拡散されました。
そして社長の謝罪会見までに発展しました。
ここからスクウェア・エニックスの逆転劇が始まります。
社長が会見で衝撃の宣言をしたのです。
要点としては以下の通りです。
・FF14はゲームとしてお客様を満足させる品質に達していない。
・現行サービスは当面無料で提供して継続した後一旦停止し、並行して同タイトル名で再度作り直しを行う。
・開発陣は刷新する
ゲーム会社が自社の商品がダメだったことを認めて作り直す。
少なくとも自分はそんな出来事は聞いた記憶がないです。
「ごめん、次のタイトルは頑張ります」というのは聞いたことがありますが・・・(笑)
そして、非難の嵐の中、2012年にサービスがいったん終了。月額課金なので、何年も払ったプレイヤーは
「お金を返せ!」の大合唱。メディアも「もうこの会社、ダメだな」の論調。
「スクウェア・エニックス 経営危機」で検索すると出てくるので、そちらを見ると当時の状況がわかるかと思います。
そして新しく開発の指揮をとるプロデューサー(兼ディレクター)に、吉田直樹という方を据えて再始動しました。
ここからが大事なのですが、吉田氏は何をしたかというと、「ニコニコ動画」などの動画メディアで、
「プロデューサーレターライブ」と称して開発状況を公開しだしたのです。ある意味ディスクロージャーみたいなものですね・・・
そのたびにユーザーから「そのコンテンツはもっとこうしてほしい」「こんなコンテンツは作ってくれないの?」といった
情報が上がってきて、場合によっては生放送の場で、「わかりました、やります!」と決断したりしていました。
それを繰り返して2013年3月、株価はサービス開始前は2000円行くか行かないかだったものがついに1000円ぎりぎりまで落ち込みました。
ただ、ユーザーの意見を吸い上げて作り直した「新生FF14」のベータテスト(サービス開始前に無料体験版を公開し、プレイヤー視点で不具合発見を
促すという手法)が同時期に公開するといたって好評で、そこを機に「これは売れる」と、株価も反応し、徐々に上がります。(他の要因もありますが・・・)
そして2013年9月、いよいよ正式に発売したところ、オンラインゲームとは思えない爆発的なヒットを記録。
そのせいでサーバーがダウンして稼働できないという事態を招くほどでした。
その後も日本のあちこちでユーザーを招待してのイベントなども頻繁に行っていました。
行ったらパンフレットあったのに制作の依頼が来なかったなぁ・・・・大手だしなぁ(-_-;)
その後も「プロデューサーレターライブ」は月1回ぐらいのペースで続けられ、現在は、
累計登録者:500万人
現在課金を継続している人:約30万人
という状況です。
1人当たり1200~2000円かかることを考えると・・・最低でも月に3億6000万円の売り上げですかね・・・
株価もどんどん上がり、現在は3000円前後になっています。
開発の総指揮をとり、生放送でた表に立った吉田氏は、この功績でアメリカのニュース誌「TIME」に掲載されていました。
見事な逆転劇だったと思います。
長くなりましたが、信頼が失墜したときどうやって立て直すか、という意味では非常に勉強になるケースだと思います。
もちろんやり損ねないのが一番なんですけどね・・・
言うは易し、行うは難しというところはありますが、お客様と対話することの大切さは忘れないよう頑張ります!
・・・・なんでこんなに詳しく知ってるかって?・・・・・ご想像に任せます(笑)
早く連休来ないかなぁ~